2021年のアドテクを象徴する3つの”C”

2021年02月22日 By Laura Quigley
The Future

Laura Quigley(IAS、アジア太平洋地域マネージングディレクター)が、厳しい経済情勢にある2021年にあってマーケティング戦略を策定しているマーケターにとって、マーケターが購入または入札するメディアの質をコントロールし、すべてのインプレッションを無駄にしないことがかつてなく重要となる理由を解説します。

アドテク業界は、パンデミックという前代未聞の状況に直面し、限界に挑戦し、事態を乗り越えることを余儀なくされています。2020年に起きた激変は、来年まで続く可能性が高いでしょう。この12か月間に、2021年以降のデジタルを代表すると予測されるいくつかの重要なトレンドが浮上してきました。そこで、マーケターが2021年に直面すると予想されるシナリオをいくつか紹介しましょう。

Contextual Targeting(コンテキスト・ターゲティング)

プライバシーは2021年も継続してホットなトピックとなるでしょう。当社の Consumer Privacy 調査レポートでは、10人中7人がオンラインでの行動に関するデータ収集を制限する対策を取っているという結果が明らかになっています。また、業界でもプライバシー規制に準拠する動きが顕著になっています。広告目的で収集されるデータについてもセキュリティの観点からより精査が進むでしょう。クッキー利用の制限が、データの有用セにも大きく制限をかけることになります。個人に関するあらゆるデータを保有していたとしても、そのデータをデジタル環境で活用する方法がないなら、いっそデータを全く持っていない方が良いかもしれません。

このような背景から、コンテキスト・ターゲティングがオーディエンスを特定する代替手段として存在感を高めています。コンテキスト・ターゲティングは洗練度を高め、最新のテクノロジーによってオンラインコンテンツの感情や情緒を分析し、人間と同じようにコンテンツを解釈することが可能になってきています。こうした先進の技術を活用すれば、リスクあるコンテンツを回避すると同時に、適合性の高いコンテンツをターゲティングすることができ、デジタルマーケティングの付加価値を高め、マーケティング戦略との整合性を高めることができます。

広告主は、個人を特定できる情報を取得して保存し、データを適切に管理し、強化されるプライバシー規制をすべて把握して遵守するために膨大な手間をかけるかわりに、コンテキスト・インテリジェンスを活用しはじめるでしょう。

CTV(コネクテッドTV)での計測への需要が高まる

2020年は消費者の新しい「ステイホームなライフスタイル」が広告主の注目を集め、広告予算も集中しました。今年2021年まで続くと予想されるパンデミックに関連した在宅勤務やその他の制限により、消費者の「インドア生活」は広告主にとって引き続き注視すべき重要なポイントとなるでしょう。マーケティング担当者は、お茶の間の消費者とエンゲージするクリエイティブな手法を模索し、発見していかなくてはなりません。その一つの方法は、より身近になったデジタル動画とコネクテッドTV(CTV)の視聴習慣を活用することです。

CTVの視聴者数が顕著に増加し、広告配信に対応したCTVコンテンツも増加していることから、広告主はすでに従来型TVからCTVへと広告予算をシフトしはじめています。マーケティングおよびメディア業界のプロフェッショナルのほぼ9人に1人(88%)が、デジタル動画/OTTおよびCTV技術の進歩により、2021年には広告費の従来型TVからデジタルへのシフトが加速するだろうと予想しました。eMarketerは、CTVの広告費はここ数年で最大の伸びを示し、米国では40.1%増の113・6億ドルになるだろうと予測しています。

ステイホームなライフスタイルはしばらく続き、CTV広告はオーディエンスとエンゲージする手段としてより多くのマーケターに選ばれるようになっていくでしょう。さらに、eMarketerのレポートによれば、CTV広告の在庫のほぼ60%が2021年までにプログラマティック取引によって売買されるようになります。CTV広告のアドフラウドやブランドリスクに対する懸念は、検証技術や、検証ベンダーとCTV事業者のパートナーシップを加速させ、より多くの広告主がこうした対策手段を採用するようになるでしょう。

Compassion(思いやり)とEmpathy(共感)

不確実な時代には、比類なきリーダーシップが必要とされます。今、エモーショナルなリーダーシップに対する評価がドラスティックに、そして恒久的にシフトしていると感じています。これまでも、CEOに求められる重要な要素の一つにEmpathy(共感性)がありましたが、これからはより一層この要素が求められるようになると思います。世界の様々な場所での生活と仕事を経験してきた私にとって、今以上に共感性が求められる時代はないと思っています。活動の場のシフトが起きているのです。経営層が共感型のリーダーシップ・スタイルを採用し、従業員の幸福を第一に考えなければ、チームはいつまでも不確実性に翻弄され、日々膨大な情報と仕事に忙殺され、ベストなパフォーマンスを発揮することはできません。

リーダーシップとは、共感し、傾聴し、絆を結ぶことで人々にインスピレーションを与え、鼓舞する能力を持つことです。いま、業界や場所を問わず、従業員は大きな恐怖とフラストレーションを抱えています。共感的なリーダーを擁するチームはストレスを克服しやすくなりますが、これまで通りのリーダーの下で仕事をしているメンバーはやる気をなくしたり、憤りを感じたりすることもあるでしょう。誠実な議論を可能にし、前向きな解決策にい向けて意識と行動を転換させることが、2021年のリーダーがチームのモチベーションを維持し、職業的にも個人的にも成功を収めるカギとなるでしょう。

成熟するリモートワーク:2020年、世界中が「リモートワーク」の実験場となり、世界は急速に在宅勤務やリモートワークへとシフトしました。デジタルファーストのライフスタイルがすでに普及していたことで、一部の業界では、この新しい働き方へとスムーズに移行することができました。コロナのない世界へと近づくにつれ、リモートワークを促進するモバイルやクラウド技術のようなデジタル技術に支えられた、ワークスタイルへのハイブリッドなアプローチが見られるようになるでしょう。自宅からもオフィスからも仕事ができるようになり、始業から就業まで会社で働いていたころと変わらない透明性とコントロールを保ったまま、基本的には場所を問わずにビジネスを行うことができるようになります。

正確で精密な計測が求められるようになる

2021年は引き続き厳しい経済環境が予想されており、マーケターはこれ以上に広告インプレッションの質を管理し、無駄なインプレッションが発生しないようにする必要があります。2021年は、パフォーマンスマーケティングへのシフトと、広告効率化の動きがますます加速するでしょう。テクノロジーが、デジタルキャンペーンによって適切なオーディエンスとエンゲージできる、より透明性が高く計測可能なデジタルマーケティングのエコシステムへの道を開くでしょう。アドベリフィケーションを利用して、デジタルキャンペーンからアドフラウドを排除し、見られ、ブランドセーフティを確保することの重要性も増しています。2021年、マーケターはアドベリフィケーション技術を利用して、広告費の無駄を削減し、キャンペーンのビジネスインパクトを測定し、消費者のエンゲージメントを促進することをさらに重視するようになるでしょう。こうした変化は、特に、より優れたアドベリフィケーション・ソリューションが求められているCTV/OTTやソーシャルといたプラットフォームにおいて顕著になります。

AIと機械学習を活用した高度な検証ソリューションは、より主流となるでしょう。パブリッシャーはコンテンツの収益性を高めて利益を上げることができ、代理店はより効果的で効率的な戦略を打ち出すことができ、広告主はキャンペーンが消費者に与える影響を可視化し理解することができるようになります。

自動化がビジネス効率をいっそう高める:2020年に浮上した課題は、業務効率化の必要性を浮き彫りにし、結果、自動化の流れを加速させました。デジタル広告の世界では、この動きはプログラマティック取引の増加という形で現れました。プログラマティックなメディア購入への依存度が高まり、純広の直接購入からシフトが進み、プログラマティックによるメディア購入の自動化が促進されました。2020年に多くの企業が損失を被ったことを考えると、2021年は自動化に裏打ちされた効率化の年になるでしょう。アドテクベンダーは運用に伴うマニュアル作業を削減し、広告購入プラットフォームの活用をはじめなければ、いつまでたっても手作業による高い人件費を抑えることができず、高すぎる運用コストを抱えて立ち往生するリスクがあります。Frost & Sullivan の調査によると、データ収集などのビジネスプロセスを自動化している企業は、生産性が向上し収益の増加につながるというビジネス上および運用上のメリットを認識しています。約2,000人のグローバルIT意思決定者を対象とした最近の調査では、72%の企業が、運用コストを削減し、顧客体験やデジタルプレゼンスを向上させるために、企業のコンテンツやビジネスプロセス管理を推進・改善するためのテクノロジーにすでに投資していることが報告されています。重要なプロセスを自動化し、AIや機械学習を採用して業務のスピード、正確性、費用対効果を高めることで、企業は顧客体験を向上させ、従業員の生産性を向上させることができます。

 

※この記事はbrandequity,comに寄稿した記事をもとに、IAS Insider Japan 編集チームが翻訳、編集しました。