アドフラウド対策ベンダーの選び方

2019年05月04日 By Michael Krauss

認知の高まりとともに、日本でも対策が求められるようになってきた「アドフラウド」。しかし残念ながら、アドフラウドあるいは不正インプレッションの問題を一夜にして解決できる魔法のようなソリューションが存在するわけではありません。

アドフラウドとの闘いには高い技術力と分野横断的な専門知識、そして次々と登場する新たな脅威に迅速に対応するイノベーション力が必要です。これらを兼ね備えたベンダーはいくつも存在しますが、ではどのベンダーを選べば良いのでしょうか?自社のマーケティングキャンペーンに本当に必要なソリューションを提供してくれるベンダーを見分けるポイントはどこにあるのでしょう?

 

MRCの基準を満たした不正インプレッション検出に対応しているか?

MRC 認証を受けている多くのベリフィケーションベンダーは、無効トラフィック(Invalid Traffic=IVT)の測定とフィルタリング機能を提供しています。MRC はさらに踏み込んで、IVT のうちどれのインプレッションがボットによるもので、どれがそうでないものなのかまで判別するように求めています。

IVT の中には詐欺を目的としたものではないトラフィックも存在します。例えば Google のクローラーやブラウザーのプリフェッチ機能、パブリッシャーのパフォーマンス測定のためのツールなど、ビジネスをサポートするために発生しているトラフィックなどです。こういった、詐欺目的ではない無効トラフィックは GIVT(General Invalid Traffic)と呼ばれます。一方、詐欺行為を目的とした悪意あるトラフィックは SIVT(Sophisticated Invalid Traffic)と呼ばれ、GIVT とは明確に区別されています。

GIVT も SIVT も人には見られていないインプレッションなので、広告主が対価を支払うべきではありません。しかし、これらを一緒くたにして排除していればそれで良い、というものでもありません。ベリフィケーションベンダーには IVT の内容まで把握し、検出し、保護し、そして報告できるだけの理解と技術力が求められます。

では、具体的に何を基準にベリフィケーションベンダーの技術力を判断すれば良いのか。参考になるポイントを挙げてみていきましょう。

 

不正インプレションの検出率が高いのが、優れたベンダー?

インプレッションを計測し、最も高い不正率を検出するベンダーが良いベンダーでしょうか。残念ながら世の中そんなに単純ではありません。他のベンダーと比較して「より多くの不正インプレッションを検出している=より多くの不正を暴いている」ということではないのです。

確かに、不正率が高く対価の発生しないインプレッションが多ければ、広告費を節約できるようにも思えます。しかし、検出された無効なインプレッションは本当に不正なインプレッションなのでしょうか?無効インプレッションだと判定されたトラフィックが、実際には人に見られている有効なトラフィックだったとしたら…高い不正率を叩き出しているというだけで判断するのは間違っていると言えるでしょう。誤検知された測定値をもとに特定の媒体への出稿を減らしてしまうことは、メディアパートナーとの間に軋轢を生み、効果的な広告運用を難しくしてしまいます。

IAS のクライアントで、実際にあった例をご紹介しましょう。とある大規模な投資銀行は、企業 VPN を使用していました。その銀行のすべての従業員は VPN を使用していたため、従業員によるインプレッションはすべてデータセンターのIPアドレスにルーティングされていました。IPアドレスによるブロッキングを実施していたベリフィケーションベンダーは、データセンターのIPアドレスであることを理由にこのIPアドレスを除外リストに載せました。結果、この世界的な金融機関の従業員によるインプレッションはすべてブロックされてしまったのです。もしあなたが高収入な人々をターゲットとして広告を打っていたとしたら、このような誤った対策は価値のあるインプレッションを排除してしまうだけでなく、不当に高い不正インプレッション率を叩き出してしまいます。

複数ベンダーのかけもちすれば精度が上がる?

アドフラウド対策としてやりがちなもう一つのアプローチとして、複数のベリフィケーションベンダーのデータを組み合わせて集計するという方法があります。異なる手法を採用している複数のベンダーのデータを組み合わせれば、キャンペーンからすべての潜在的な不正を排除できるという考え方です。しかし、残念ながらこの方法にも欠点があります。

正確さよりもレポートに記載されるデータの量を優先するやり方は誤検知の増加につながるケースが多く、本来ならば有効なインプレッションを退ける結果につながりかねません。さらに、誤検知やデータの齟齬を発見した際、事象が発生しているベンダーと原因を特定し、問題を解決するためには誰に連絡すれば良いのかの判断に時間を取られてしまうという煩わしさも避けられなくなってしまいます。

コストや運用工数の問題も、複数をベンダーを同時に利用する場合には考えなくてはなりません。アドベリフィケーションベンダーはそれぞれに価格を提示してくるでしょうが、各ベンダーのソリューションを合計した際に得られるメリットが合計金額以上になることは期待できないかもしれません。一定のコストがかかるものを複数寄せ集めたからといって、コスト以上に効果が上がる訳ではないのです。実際には各ベンダーのコストに加え、計測インプレッションの重複排除や、データのアグリゲーションなど、運用工数がさらにかかります。複数のソースから寄せ集めたデータを横並びに比較できるようにするプロセスは非常に複雑で手間がかかるため、マーケティングチームが忙殺されて本来の業務がおろそかになってしまっては元も子もありません。

アドフラウド対して多面的なアプローチができるベンダーを選びましょう

広告主にとって最良の解決策は、正確さが求められるフラウド検出に対し多面的なアプローチができるベンダーを探すことです。アドフラウドはデジタル広告に常について回る問題ですが、キャンペーン費用を無駄にボットなどの無効トラフィックに消費されてしまうリスクを排除しながら、誤検知によって有効なイプレッションが除外されてしまう事態を避ける方法は存在します。

広告主が、広告予算を最も効果的に活用するために必要なデータを、完全な透明性を持って開示できること。これが、IAS が考えるアドベリフィケーションベンダーのあるべき姿です。

IAS が考える広告不正に対する多面的なアプローチの3つの柱をご紹介しましょう。

振る舞い検知とネットワーク分析:

IASは、毎日何十億ものインプレッション – ほかのどのベンダーよりも多くのインプレッション – を分析し、ビッグデータを使用して不正を示す異常な振る舞いやネットワークを特定しています。

ブラウザと端末分析:

ブラウザと端末に残された技術的な痕跡を解析し、人間を装ったボットを特定します。ブラウザがどの種類のモバイルまたはデスクトップ端末で実行されているかを検証し、フラウドを特定するための情報として活用しています。

マルウェア解析と標的型偵察:

IAS では専任のアナリストがボットやマルウェアを解析しています。リバースエンジニアリングにより、ボットやマルウェアがどのように動作するのかを解析し、これによって得た知見をボット検出テクノロジーに反映させています。

フラウド検知にはホリスティックモデルが適用されるべきだと考えています。IAS は、インプレッションを発生時に評価する決定論的手法と、フラウドの可能性があるパターンを識別できる確率的データと機械学習を組み合わせてフラウド検知に当たっています。複数の手法を組み合わせることにより、誤検知によって大量のインプレッションを排除してしまうことなく、フラウドだけを排除することができます。これは、一つの手法だけでフラウド対策を実施しているベンダーにはできないことです。

アドフラウドは、多様で複雑なソリューションを提供するアドベリフィケーションの一つの側面にすぎません。包括的で多面的なソリューションは、ビューアビリティやブランドセーフティを含む総合的なアドベリフィケーション ソリューションにも高い信頼性をもたらします。


※この記事は英語版Insiderに掲載の「How to select a fraud detection provider」をもとに、IAS Insider Japan編集チームが翻訳、編集しました。