動き始めたソーシャルプラットフォームのブランドセーフティ

2019年06月19日 By IAS Japan Team

アドベリフィケーションの三指標(ビューアビリティ、アドフラウド、ブランドセーフティ)の中で、広告主から最も関心を集めているのがブランドセーフティです。

アダルトや暴力的なコンテンツ、ヘイトスピーチなど、不快なコンテンツ環境に自社のブランド広告が表示されることは、ブランド価値を損ないます。さらに、こういったコンテンツによって収益を得たり、ネガティブな思想を宣伝しようとする団体や事業者、そして個人に広告資金が流れてしまうという社会的な問題にもつながっています。デジタル広告に特有な複雑な広告配信の仕組みや、パブリッシャーよりも消費者が主体となってコンテンツが生成されるSNSプラットフォームの成り立ちもまた、広告がそういったコンテンツとともに表示されてしまうリスクを高めています。

 

ブランドリスクと表裏一体のソーシャルコンテンツ

編集者のチェックが働くメディアと違い、FacebookやYouTubeのようなソーシャルメディア上のコンテンツはユーザーによって投稿・共有される会話やコンテンツで成立しています。カワイイ猫の写真から過激な政治思想を語るものまで、コンテンツは多種多様です。

YouTube上には、スマートフォンや動画編集アプリなど、コンテンツ制作に関連したテクノロジーの飛躍的な発展により、大手メディア企業や放送ネットワークと肩を並べて、様々な独立系のクリエイターや完全な素人まで、実に幅広い層のユーザーがー作品を生み出しています。アップロードされる動画は毎風数百時間、毎日のべ10億時間の動画が視聴される環境で、すべてのコンテンツのリスク査定を行うことは非常に困難です。そもそも、ブランドによってリスクの種類が変化するため、どのブランドにとっても「完全にブランドセーフ」という状況はあり得ません。

 

FacebookやYouTubeに求められる透明性

ユーザーが自由にコンテンツを投稿できる世界は、広告主から見れば予測不能なコンテンツが生成される環境です。かつて広告主はこういった環境をできる限り避けようしてきました。しかし、プラットフォームが巨大化しユーザーの時間の多くがそこに費やされるようになった今、ソーシャルプラットフォームは魅力的なリーチをもたらしてくれる無視のできない存在へと変化しました。MySpace(懐かしいですね!)の時代には試験的に広告を出してみる程度でしたが、FacebookやYouTubeの時代となった今、ソーシャルはデジタル予算の大きな部分を占めるようになっています。

欧米でしばしば「Walled Garden(壁で囲われた庭)」と称されるソーシャルプラットフォームは、基本的に第三者にデータを開示していません。広告主やユーザーに対する透明性が低いため、マーケターが広告配信面のコンテンツの種類を確認・管理することが困難です。得られる情報が限定されているこのような環境では、マーケティング担当者はターゲットユーザーの幅広いリーチを獲得することと、自社の広告がブランドリスクのあるコンテンツの隣に表示されてしまうことの二者択一を迫られることになります。

 

ソーシャルプラットフォームのブランドセーフティ対策

ソーシャルプラットフォーム事業者たちも、高まる広告主の声に対し手をこまねいているわけではありません。ソーシャル広告を実施するときの課題、特にソーシャルプラットフォームの透明性に関する課題は、P&GやWPPなどの業界リーダーが発表した声明によって広く認知されるようになりました。世界の広告出稿費ランキングトップの常連となっている巨大ブランドの多くが声を上げたことは、業界全体に対して新たな問題を提起しました。

Facebookのブランドセーフティに関する取り組みの第一歩として、IASはFacebookブランドセーフティパートナー認証を受け、ブランド価値を守るのに欠かせないソリューションを2019年5月より開始しました。

白人至上主義やヘイトスピーチを扇動する動画に大手ブランド広告が表示され、ロレアルやベライゾンなど数百ものブランドがYouTubeへの広告出稿を停止した”事件”以降、YouTubeもブランドセーフティに関する取り組みを強化してきました。GoogleはIASと連携し、YouTube上でのブランドセーフティの第三者による客観的なデータの提供を2018年より開始しています。

GoogleとIASによるブランドセーフティ対策を活用してブランド広告に取り組んでいる、フランスのプジョーのような事例も参考になります。マーケターは、広告を出稿する立場としてのパワーを持ち、また責任を負っています。マーケターが旗振り役となり、代理店やパブリッシャーを巻き込んでいくことが、業界全体の透明性につながることを示す良い例です。広告主は、透明性が高く安全なプレミアムパブリッシャーへの出稿を増やす意向があることも、調査結果で分かっています。つまり、透明性向上への取り組みは広告主にとってだけでなく、パブリッシャーにとっても良い結果をもたらすのです。

 

IASのソーシャルプラットフォーム向けソリューションについては、こちらもご覧ください。

 


※この記事は英語版Insiderに掲載の「Brand safety in social world」をもとに、IAS Insider Japan編集チームが大幅に編集を加えたものです