IASが予想する2020年の業界トレンド20

2020年01月06日 By IAS Team

新年あけましておめでとうございます!
新しい年がどのような一年になるか、私たちはワクワクした気持ちで年明けを迎えました。

2020年最初の記事は、IASが予測する2020年の20の業界トレンドをお届けします。

本記事はUS版Insiderの内容を日本語に翻訳したもの、主に米国でのトレンドをピックアップしています。

 

1.5G時代の幕開け!

2020年は、モバイル通信における5Gが拡大し、主流となり始める年になります。既存のモバイルユーザーは4Gよりも最大100倍速い通信速度を活用し始め、ローカルWi-Fiへの依存度が相対的に低くなることが予想されます。5Gはこれまでにない規模でインターネットへのアクセスを開放します。5Gによってより多くの人がインターネット環境を利用し、今までとは比べ物にならないほどの膨大なコンテンツが生成されます。増え続けるコンテンツに対応するためには、静的なソリューションでは圧倒的に力不足です。機械学習やAIによる対応が求められるようになり、サービスが不足している地域では教育やビジネスで大きなチャンスとなるでしょう。新しい世代のデジタルクリエイターやビジネス、マーケティングのチャンスが多く生み出されることが予測されます。

 

2.ユーザー生成コンテンツ(UGC)の圧倒的支配

GoogleとFacebookはデジタル広告予算の大半を吸い寄せており、この二つのプラットフォームでいかに結果を出すかは引き続きデジタルキャンペーンのカギを握ることになりそうです。代理店と広告主はこれらに代わる有効な手法を探し続けますが、今現在、この二つのコンビネーションの優位性は最も効果的な選択肢であり続けそうです。FacebookとYouTubeは2020年も多くの広告予算を引き寄せ続けるでしょう。

 

3.火のないところに煙は立たない、煙のあるところにはアドフラウド

世界中で新たに生み出されるデータの総量は2015年から2020年の4年間でほぼ4倍に増加しましたが、さらに加速することが見込まれます。5Gの項でも触れましたが、このような状況では静的なルールに基づいた不正検知は常に遅れを取ってしまうことになります。不正業者が、機械学習やAI、ビッグデータを用いた行動分析やネットワーク分析といったテクノロジーを次々と採用して新たな不正の手法を生み出すのを手をこまねいて見ているわけにはいきません。わずかな煙を検知し、大火になる前に確実に鎮火することのできるソリューションへの投資を惜しまないでください。

 

4.アドフラウドは2020年の大統領選挙にも影を落とす

2020年、アメリカでは大統領選挙が行われます。これを受け、2020年はオンライン、オフライン双方の政治広告費が過去最高になると予想されています。政治キャンペーンによっては100億ドル規模の広告費が投じられると見る専門家もいます。これまで繰り返し見てきたように、広告主が広告費を投じる先は必ず不正業者のターゲットとなります。不正広告対策の最前線を担う者として、私たちは不正広告が候補者の広告費に大きなリスクをもたらし、選挙結果にも大きな影響を与える可能性があることを認識し、問題意識をもって取り組んでいきます。選挙キャンペーンのデジタル担当者は、こうしたリスクを正しく理解した上で候補者のメッセージを正しく市民に届けるために最先端のアドフラウド対策を導入する必要があります。

 

5.デジタルは政治広告バトルの主戦場に

大統領選挙イヤーを迎えるにあたり、政治広告を取り巻く方針の重要性は継続して高くあり続けます。Facebookは最近、政治広告のファクトチェックを行わないと発表し波紋を呼びました。TwitterSportifyが政治広告を全面的に禁止すると発表したのとは対照的です。また、Googleも同様の対応を発表しましたが、こちらは少しアプローチが異なっており、年齢や性別、ロケーションによるオーディエンス・ターゲティングを禁止するというものです。業界の巨大プレイヤーたちがそれぞれ異なる対策を発表したことは、ソーシャルメディアがいかに選挙結果に大きな影響を持ち得るか、その中でどのような役割を果たすべきか、各プレイヤーが模索している表れとも言えます。

 

6.ブランド適合性、始動!

広告主が求めるブランド適合性の向上を実現するためには、リスクの高いコンテンツに広告が表示されることをテクノロジーによって阻止するだけでは不十分です。求められているのは、ブランドリスクを排除するだけでなく、ブランドのコンテキストに適合したコンテンツ環境で、しかも質だけでなく量に対するデマンドも同時に満たす必要があります。GDPRやCCPAといったプライバシー規制によってオーディエンス・ターゲティングに使用できるデータを制限されるヨーロッパとカリフォルニアだけでなく、Cookie規制などの議論が始まっている日本でも、デジタルマーケターは課題に直面するでしょう。

 

7.CCPA、GDPR、そしてデータプライバシー保護の課題

GDPRの施行から約1年半が経過し、アメリカのカリフォルニア州ではCCPA(California Consumer Privacy Act、カリフォルニア州消費者プライバシー法)もいよいよ2020年1月から施行されました。消費者のプライバシーを保護するこうした規制や議論は2020年も引き続き注目を集めるでしょう。デジタルマーケターは、消費者をターゲティングする際のアプローチを見直す必要性に迫られます。Cookieに頼るのではなく、コンテクスチュアルな接点やデータポイントを見極めていくことが求められるでしょう。

 

8.Cookieのない世界では、コラボレーションが明暗を分ける

クッキーレスな世界では、オーディエンス・ターゲティングはおのずとコンテクスチュアルな要素に頼ることになります。「枠から人へ」の流れが始まってから10年あまりが経過し、改めて「枠」の重要性が再認識されつつあります。広告主はパブリッシャーから提供されるファーストパーティのデータをプログラマティック・キャンペーンに活用しつつ、同時にGDPRやCCPAといったプライバシー保護の規制を遵守する必要があります。データ活用はPMPやプログラマティックギャランティードへとシフトしていくでしょう。

 

9.プライバシー懸念の高まり=透明性の向上

自分のデータがどのように使われているか把握したいと考える消費者はますます増え、プライバシーはここ数年に引き続き、インターネットを利用する際の最重要事項となるでしょう。アプリのプライバシー基準や、広告主に求められるルールはより厳格化が予想されます。デジタルマーケターにとっては大きな課題が一つ増えることになりますが、マーケターも仕事を離れれば一消費者です。消費者にとっては、データの使用方法やアクセス可能な情報に関する透明性が向上することを意味する、という視点を忘れずにいたいものです。

 

10.コンテキストは絶対!

IASは2019年末に、コンテクスチュアル・ターゲティングの優れた技術を保有するADmantXの買収を発表しました。IASはこれまでも膨大なデータを機械学習で処理し、コンテキスト情報を活用して広告と配信面の関連性を評価する技術に投資しており、この買収はこれをさらに強化するものです。ありがたいことに、コンテンツ・ターゲティングでは個人データを活用する必要はありません。より多くの個人情報が規制によって利用に制限をうけるようになり、マーケターはクッキーを使用して一般的な消費者データにアクセスすることが難しくなります。2020年、私たちがこの改題に対して示す解決法は「コンテキストの重要性を理解し、活用しよう」ということです。

 

11.行間を読む

肯定的あるいは否定的な感情に基づくターゲティングの実施には、人間と同等レベルのコンテキス分析や心理分析が必要です。AIと機械学習はそこで重要な役割を果たします。消費者心理は適合性を語る上で不可欠な部分であり、業界がよりインテリジェントなソリューションを構築し、増大するユーザー生成コンテンツの環境から身を守る機会を提供します。

 

12.CTV(コネクテッドTV)が技術進化の新たな地平を開く

2020年はCTVのプログラマティック元年となるでしょう。これは、リスクのあるブランド環境やアドフラウドにとっても新たな幕開けを意味します。結果、デジタル業界は、IASのようなベリフィケーション企業が、広告主とパブリッシャーが新しい環境で効果的に広告展開できるような革新的なCTV向けソリューションを拡大できるかどうか、注視することになるでしょう。

 

13.メガイベントがコネクテッドTVを進化させる

東京オリンピックや米国大統領選挙など、2020年は広告主にとって絶好のプロモーションの機会となるメガイベントが目白押しです。こうした環境下でCTVは若い世代にリーチする上で重要な役割を果たします。D2Cブランドは、すでにCTV広告に多額の投資を行い、ホームショッピングは新たな時代に突入したと考えています。この新しい環境に移行するにつれ、より多くの広告主が、不正業者の一歩先を行き、メディア費用を不正から守るために進化する必要性に迫られるでしょう。

 

14.OTTとCTVで不正業者の先を越せ!

OTTとCTVの広告不正は高度化していく、と私たちは予想しています。IASは、動画パブリッシャーと協業し、動画広告の視聴完了とアドフラウドを計測する業界初のCTV向けアドベリソリューションを開発しています。このタイプの広告のオープンエクスチェンジ上での取引が増加するのにつれ、CTVに対するアドフラウドのリスクは増加していくでしょう。

 

15.動画広告のさらなる台頭

動画コンテンツの消費量はすべてのデバイスで増加することが予想されています。すべてではないにしろ、ほとんどのソーシャルプラットフォームで使用される主要な広告フォーマットになる可能性もあります。2020年、広告主は、特にソーシャルプラットフォーム上でデジタルキャンペーンの要となる動画広告により多くのリソースを費やすことになりそうです。

 

16.アーアー聞こえますか?…音声広告がカムバック!

音声広告にとっても、2020年は記念すべき年となりそうです。家庭内で使用される音声コントロールデバイスの普及により、ポッドキャストはルネサンス期を迎えるでしょう。番組中に再生される広告はエンゲージメント率が高く、番組ホストが広告を読み上げた場合はさらに高いエンゲージメントが見込めることが分かりました。しかし、ポッドキャストの広告はまだ発展途上で、リスナーと商品購入者を関連付けてトラッキングするのは困難です。ポッドキャスト市場が拡大するにつれ、音声広告も新しく大胆なプレースメントを拡大していくでしょう。

 

17.動画広告で目前に広がる広大な(VAST)道のり

デジタル業界におけるVAST 4.2の導入は非常にゆっくりとしたスタートを切りましたが、2020年にはエコシステム全体が導入に大きく舵を切ると予想しています。VAST 4.2 は前バージョンで取り残されていた課題を解決し、VPAIDの価値は相対的に低下していきます。業界全体で動画広告で計測するKPIが標準化されるため、今度こそ本当の意味でクロスチャンネル、クロスデバイス、クロスメディアが可能になっていくでしょう。

 

18.クロスアプリでのイノベーションがついに実現

2020年、私たちはついにクロスプラットフォームでの使用を目的としたアプリが開発されるのを目撃できるかもしれません。これは、特定のデバイスに固有のプラットフォームごとに別々のアプリを用意する必要がないことを意味します。(例えば、Android用 jacascriptでのプログラミングと、Apple iOS用)ブランドにとっても消費者にとっても頭痛の種だった課題が解決され、アプリは最初からすべてのプラットフォームをサポートするように開発されるようになるでしょう。

 

19.アプリ内計測実現のためのOM SDK導入が進む

広告主が、計測可能なアプリ内広告の在庫を正しくターゲットして出稿するためには、エコシステム内のすべてのプレイヤー(パブリッシャー、広告主、DSP、SSP)がそれぞれ協力し、OM SDKの導入を進めていく必要があります。

 

20.業界最適化がカギを握る

デジタル業界は、カスタマイズされた効果測定指標がすべての配信環境を横断して360度評価を行う方向へと舵を切っています。すべてのチャンネルの広告在庫は一貫で評価されます。広告主は、広告効果や結果についての透明性や計測可能性と、ビューアビリティのよりきめ細やかな最適化を求めるでしょう。そして、ビューアビリティがキャンペーンにもたらす影響についての知見が広がることが予想されます。この動きに対して、業界内の特定のプレイヤーだけが努力しても成果を上げることは難しいでしょう。業界全体で最適化していくことが求められます。

 

 


※この記事は英語版Insiderに掲載の「20 predictions for ’20」をもとに、IAS Insider Japan編集チームが翻訳、編集しました。